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-staff-
原作/松谷みよ子(講談社刊)
脚色/宋 英徳
演出/鈴木龍男
音楽/萩 京子
美術/小南由紀
照明/石島奈津子
効果/杉山秀行
衣裳/菊地勇一
舞台監督/高田 潔・内藤正修
演出助手/古川伴睦
制作/小田芳信
-story-

1968年の8月。
夏休み、小学生の直樹はお母さんと妹のゆう子と一緒に、広島県の「花 浦」という町を訪れる。
お母さんが九州で仕事をしている間、二人は祖父母の家に預けられる のだ。
幼いゆう子は「イーダ」と呼ばれている。遊び盛りの直樹にとって、無邪 気で泣き虫なゆう子は少々、お荷物な存在。
ある日、直樹は美しい蝶の跡を追いかけ、鬱蒼とした森に入り込んでし まう。そこで廃屋同然の西洋館を発見し、奇妙な光景に出会う。

「イナイ、イナイ、ねんねこよ・・・・・・」

なんと、人間のようにつぶやきながら、木のイスが歩いているのだ!
この町で知り合ったりつ子と共にイスと洋館の謎を解き明かそうとする直 樹。
そして、直樹はかつて広島で起こったことを知る…… 

-cast-
直樹 ……… 片桐 雅子
ゆう子……… 高木恵美子
お母さん…… 松野 方子
お爺ちゃん… 関口   篤
お婆ちゃん… 勝倉けい子
りつ子 …… 小野 瑞穂
椅子 ……… 兼松 正敏
古川 伴睦


■2004年 厚生労働省社会保障審議会
推薦児童福祉文化財    


劇団仲間のタビニッキ


少女と椅子とヒロシマの物語
脚本/宋英徳

芝居ぐらい夢を見たい。一歩外へ出ると、世界は嫌悪と 憎悪に満ちている。芝居は所詮フィクション“嘘”なのだ から、辛いことは忘れて楽しもう。明日のためにこの一 時夢を見よう。そういう芝居が観てみたい。――当然 だ。それでいいんだと思う。でも、そうなのかいと云う声 も僕の内側にある。
辛いものは現実にある。辛い悲しいという気持ちは人間 にある。ある以上それは必要なのだ。
そして優しいと云う気持ちも人間は持っている。これは 特に他者に向けて発せられる時光り輝く。辛い悲しい優 しいと、人は人を生かすような感情を養ってきた。
「ふたりのイーダ」はヒロシマのあの日から長い時が流 れた高度経済成長期の日本が舞台となっている。美し い物語だと思う。これを21世紀の子ども達にどうやって 伝えようか…。
この物語を「劇団仲間」より上演台本にする機会を戴い た。今から心湧き起つものがある。
子どもの心は繊細だと僕も思う。だからと云って辛い悲 しいと云う気持ちを受け止められないことは決してない。 その先の“優しい”に灯りがともっていれば、彼等はそこ 迄来てくれる筈だ。
少女と椅子とヒロシマの物語は、子ども達の新しい“優 しい”の灯りになって欲しいと思う。
私たちにできることは…イーダへの想い
演出/鈴木龍男

僕たちのまわりをよく見てみると、長い間自分のそばに ひっそりと寄り添うようにしている懐かしいものがあちこ ちに埋もれています。子どものころ気に入っていつもか ぶっていた小さくなった帽子、引き出しの中にため込ん だお菓子のオマケ、いくつか音の狂ってしまったハモニ カなど、なぜか捨てることができないのです。家庭の中 にも、まるで家族のように一緒に生きてきたかけがいの ないものがたくさんあって、特に家具というのは私たちの 生活に溶け込んで寄り添ってくれています。この芝居は 自分に座ってくれた家族を原子爆弾という恐ろしい兵器 で失ったイス、そしてこのイスと友達になる少年の物語 です。
私はこの芝居を通して時代を超えた命のつながりを描 きたいを思っています。戦争は物だけでなく心も壊して しまいます。今でも地球のどこかで戦争が起きていま す。その中で私達にできるのはどんなことなのか、主人 公の直樹と一緒に古ぼけたイスに話しかけてみようと 思います。



2002年夏休み公演のアンケート

なぞが深まり、解け、もうひとりのイ
ーダがわかってくる。テンポ良く、人
物といすのそれぞれの気持ちがず
んずんひびいてくる劇でした。舞台
作品として感動する中にメッセージ
もしっかり受け止められました。  
         (47歳、女)
                      
    
是非語りつがねばならない戦争を、 どうわが子に伝えようかと悩む日で した。今日、このドラマを見せたこと で、もう十分に彼女の心に中「大切 な要点」が入ったと信じます。あと は、私の手で語りつぎます。                     (?、女)
とても素晴らしかったです。芝居特 有のインパクトを肌で感じることがで きました。本や映画にはない独特の リアリティのもとで戦争について触 れることが出来たと思います。   
               (?、男)
広島出身なので方言がなつかしく、 灯篭流しとかも実際の情景が思い 出されました。8月6日の日のこと は忘れないでいたいし、忘れてほし くないです。本日はありがとうござい ました。                              (26歳、女)

それぞれの役ぴったりキャストの方 が合っていたと思います。ぐんぐん 話にひきこまれていく感じがしまし た。本当に自分が体験しているよう なそんな気持ちになりました。   
(15歳、女)
子どものころ本で読み、映画でみた “ふたりのイーダ”、ほんとにすばら しい、すてきな、思いに残る公演で した。演劇という方法はほんとにい いものだと、久しぶりに感じました。 小さい子には難しいんじゃない? と、うしろのカップルが話していまし たが、ぜんぜんそんなふうに思いま せん。こういう経験・芝居や本との 出会いがつみ重なって、ひとが大き くなってくんだろうと思いました。                 (34歳、女)

イスの「イナイ、イナイ」の声がとてこ わかったです。ピカのおそろしさを、 あらためてしりました。イスとイーダ ちゃんがあえて、よかったです。                 (10歳、女)